但馬

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鹿介は、その川の手前で部隊を停止させた。 鹿介は、敵の斥候が、前進する尼子勢の姿を見て馬首を返して駆け去るのを認めていた。 小助の報告が正しければ、そろそろ敵本隊が来ていい頃だ… そう考えていると、山の縁を巡ってこちらに進んで来る一隊が姿を現した。 足早に前進して来るその60人ほどの軍勢は、小助の報告通り、武田一門の指し物を背に翻し、6騎の騎馬武者が率いているのが見て取れる。 その武田勢60人は、川の辺(ほとり)に至って足を止め、川を挟んで、勝久と鹿介が率いる20人の軍勢と相対する形となった。 しかし、武田勢は急には攻めず、この奇妙な小勢が敵か味方か計りかねているようである。 鹿介はこの隙を見逃さず、素早く弓を構えてヒョウッと射た。 狙い過たず、鹿介の放った矢は、先鋒を務めていた騎馬武者の右目を貫通して射倒した。 武田勢は、ようやく自らに敵対するものと気付いて驚き騒いだ。
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