【初陣】

4/9
前へ
/69ページ
次へ
「シャドー、開くぞ。『闇の転送門(ダーク・ゲート)』」  そしてシグの影が広がり、周囲数十メートルの黒い円を描く。 「来い。闇の軍団(ダークネス・ナイト)」  そしてシグの呼び声に応えるかのように、黒い円から何かが這い出てくる。 「アルエの闇の軍勢(ダークネス・ナイツ)には劣るけど、充分だろ」  闇から這い出たのは、武装した無数の鎧。しかし中身は空っぽのようだ。 「人形使い(ドールマスター)の怖さを思い知れ」  そして鎧たちは魔動人形に向かって駆け出す。 「ありゃなんだ?」 「コウヤ、引いた方がいいかもな」  前衛として戦っていた二人も、後ろから迫る鎧の軍団に焦りを感じる。 「ふざけるな。あいつ一人に手柄やれるかよ!」  すると、コウヤの筋肉はさらに隆起し、ローブははち切れそうになった。 「まあ、それもそうか。じゃあ俺も本気出すかな。…シグ、よく見とけよ」  そしてコウヤは闇の軍団を引き連れるように先陣を切ってなおも攻め込み。ゼロは跳びあがって、周囲に魔力を放出する。 「お前でも、さすがに知らないだろ。知られないように結界の中で得たこの力は」  そして放出された光の魔力は無数の剣となってゼロの周りを漂う。 「いっけぇ!!」  そして剣は、人形達へ向かって跳ぶ。だが、ゼロ以外の者はその光景に息をのむ。 「おいおい、当たったらただじゃ済まねえぞそれ」 「…なに、あれ?」 「ちょっと、あんな魔法どの文献にも載ってないえ」 (ゼロ…化けたか)  それは、シグが全く予想していなかったこと。 「やはり、何度見ても信じられんのう」 「なんだあの力は、特別な破壊魔法か?」 「魔法専門のミーでも、あんな魔法みたことないですよ」 「あるわけなかろう。妾でも、あの力を持つ者はこの世で一人しか知らん」  離れた場所で見てる賢者たちも驚きを隠せない。なぜなら、ゼロの放った剣は、人形達に刺さると、その人形を粉々に破壊してしまうのだ。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加