【言い伝えの神】

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 その後、ケガ人の治療は終わりサイクロプスもアルエがシャドーで住みかへと戻した。そしてパルス王国の調査が行われたが結局収穫はなく。解散したのは夜であった。 「本当に来てくれるとは思わなかったぞ…弟子も一緒か」 「ほほほ、解散したその足で来たんじゃ。お前さんと違ってわしらは空間転送できんのでな。とくに遠くに住んでおる蒼は弟子を置いてはこれまい」 「客間がないのはいいけど、帰りは便利なシャドーウォーカーで送ってもらうよ。それとミーは温かい食事を所望する」 「我はよいが、弟子に食事くらいは出してもらうぞ」 「茶でも何でもあるものなら出してやる。キサ、食事の準備はできてるな」 「はい。お口に合うかはわかりませんが、多種多様の料理をご用意させてもらいました」  この城が建ってからこれだけの人数が入ったのは始めてだ。光の賢者であるシリス以外はこの城に来るのが初めてなので、珍しそうに周りを見回す。そして食堂へ通され、大きな長テーブルに皆が腰を下ろした。 「作法なぞは別に問わん。国によって異なるしの。話は食事の後にするとしてとりあえず食してくれ」  そして給仕服をきた魔動人形が大皿に盛られた料理をテーブルいっぱいに運んでくる。 「あわわ、これは予想よりもずいぶんと豪華ですね~。まさか闇の賢者がここまでしてくれるとは驚きです」 「城の主だけあって、有意義な生活を送っているのだな。人形使いだけあって城の管理も行き届いている」 「別に、普段はそんな贅沢はせん。食事も妾とシグしかとらんのでな。じゃから金は使わぬのに依頼をこなして報酬があるから貯まる一方でな」 「ほほほ、ならばもっと家具をそろえたり客室を作ればよいではないか」  話の弾む賢者達。だが、対照的に弟子たちはあまり会話はない。コウヤとコアがやりとりするくらいでゼロとフィール、そしてシグはただ黙って料理を食べていた。もっとも、フィールは視線をシグへ向けているが。
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