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「客室は客を呼ぶために必要なものじゃ。今日まで客を呼んだことがなかったからな。とくに必要性も感じておらんだけじゃ」
「備えあれば憂いなしと言うじゃろ」
「まあよいだろう。我もあまり自分の屋敷に人を呼びたくはないのでな。普段は研究に没頭して客を呼ぶこともないが」
「ミーも、コアとの愛の巣には誰も入れたくないですね~」
「…本当にお主、今に嫌われるぞ」
だがすでに嫌われているようで、コアは一度も蒼の賢者の方を見ることがないまま食事は終わる。
「シグ、他の子たちを連れて席をはずしてくれ。…こういうこともなければ話し合うこともないじゃろう」
「でもアルエ…分りました。マスター」
何を感じたのか、シグは食堂を出ていく。
「ほほほ、親睦会ということじゃ。お前たちも行きなさい」
「…言われなくても」
「ちょっとフィール」
そして他の弟子も食堂を出て行った。
「キサ、茶を出してくれ。お主らは何かいるか?」
「ほほほ、何でも構わん」
「ミーはミルクたっぷりでお願いします」
「任せる」
テーブルは綺麗に片づけられ、席に着くのは四賢者のみ。そして先ほどとは空気がまるで違う。
「して、我らを呼んだのはどうしてだ? 正直お前らしくない。いつものお前なら一方的に会いに来るだろ」
「四人だけで話をしたかったからじゃ。そして誰にも聞かれたくない内容じゃ。この城は人が来ることなどなく、さらに結界が張り巡らされ、とことん外界から遮断されておる」
「まあ、確かに密会にはうってつけですねー。ここには王族でも干渉は不可能みたいです」
「ふう、お前さんがわしらの意見を聞きたいほど深刻な内容なのか?」
「…私は、向こうの方にもお茶を出してまいります」
キサは聞かぬ方が良さそうだと、理由をつけて食堂を出ていく。
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