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「いろいろ調べたのじゃ。汚い手も使って、王家のことを調べた。そして知ったんじゃ、今の王家にとって、フィールとシグは邪魔な存在でしかない」
「正統後継者である二人が邪魔か。嫌な感じじゃのう」
「今のグローリアとジハールは操られておるに過ぎん。いづれ、その地位を失うからの」
「まあ、ありうる話ですね。自分の地位を維持したいがために、邪魔な存在を消す」
「そして滅ぶまでグローリアとジハールを食いつぶすか。…我の一族もかんでいそうな話だな」
どれだけ世界が苦しみに満ちても、わが身が一番かわいい。そのためなら何でもする。今生き残っている王家の大半はそうして国を守ってきた。
「大国であるジハールとグローリアを利用し、自国を安定させて国土を拡大。そして正統後継者を失った大国は何れ滅び、残った王家でまた消し合うか。…血塗られた血族だな」
「別に紅はまともじゃないですか。そういうのが嫌で逃げ出したんだから。それに、賢者として多くの人を守ってるんだから、誰も責めませんよ」
「そうじゃな。お前はまともじゃよ。そうして心を痛めておるのだから」
「それにしてもゆるせないですね~。もし闇の予想が事実なら、ミー達の弟子が死んでもかまわなかったってことじゃないですか」
「妾は初めから嫌な気はしてたんじゃ。じゃが、まさか絶対種を使うほどとはさすがにおもわなんだ」
「あの場にいたわしら全員、絶対種が現れるなど予想していなかったことだ。王家が二人の命を狙っているとしてもそこまで大胆な作戦でくるとは思わんさ」
この世の全てを知りつくすと言われているシリスでも、さすがに人の心までは知り得ないようだ。
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