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この世界に8つ存在する王国。その中でも大国と言われる『グローリア王国』。そこに世界に四人しかいない賢者が集められていた。
「ほほほ、こうして全員がそろうのは何年ぶりかのう」
「魔王が訪れて以来だから、二年ぶりではないか」
「ふん、集まる必要もなかったと言うだけのことじゃ」
「ミーは面倒なの嫌いなんで、早く終わらせたいですね」
城にある大きな部屋で、四人の賢者は王達に待たされていた。王達からは招集の命しか受けていないが、なぜか今回は弟子を同伴でのことで、各賢者の側には弟子がいる。
「しかし、弟子の同伴とはどういうことじゃ? こんなこと初めてであろう」
「確かにいままでなかったですね。ミーの可愛い弟子はあんまり外に出したくないんですけどね~」
「四人の賢者が全員弟子を連れているのは史上では我らだけだからではないか」
「ほほほ、確かにいつも誰か弟子を連れていなかったからのう」
歴史上、四人の賢者とその弟子たちが一ヵ所に集められたのは初めてのことなのだ。なぜなら光と闇が反発するように、蒼と紅の賢者も相いれないことが多く。そもそも賢者全員がそろうのは稀なことなのだ。
「今回の招集ってやっぱあれですかね~?」
「あれとはなんじゃ?」
「闇のは城に引きこもっておるから、世間の噂なぞ耳に入らんじゃろ」
「引きこもりで悪かったのう。して、噂とはなんじゃ」
「あくまで噂だ。我も詳しくは知らんが、パルス王国の土地で逆賊が国を作って力を蓄えているとか何とか」
「パルス王国じゃと」
闇の賢者の目つきが変わり、紅の賢者を見る。
「あの国は数百年も前に滅んだのではなかったのか? なぜそんな土地に人が集まる?」
「あの国の王家の血(キングブラット)は『想像創作(イマジ・ネイター)』。魔動人形や魔動の鎧を作った国だ。もっとも、力は弱くて滅んだがな」
「つまり~、あの国にはまだ人が集まる何かが作られていた可能性があるってことなんですよ~。それが本当なら、王達は手に入れたいでしょ」
「それに、暴動を起こされてもかなわんしのう。争いはできるだけ避けたいじゃろ」
パルス国はアルエが魔界に行っている間に滅んだ国でアルエも詳しくは知らないが、パルス国が残した技術は今もこの世界に深く根付いている。
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