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「それに~、噂じゃパルスの王族に生き残りが居るらしいですよ」
「そんなわけあるまい。だったら国が枯れることはないはずじゃ」
「可能性はゼロではない。…分家。わずかだが王の血が流れている者」
「…突然変異じゃな。血が流れていても、薄くなれば王家の血の力は失われる。だが稀に、分家の中から力を持った者が生まれることがある」
「まあ、天文学的な数字じゃがのう。しかし、才能に目覚めたからと言って国に恵美が戻るとは限らんわい」
「だが、パルスの王家の血が手に入れば役に立つ。…もっとも、これは我の考えだがな」
黙って側に居る弟子達を気にせず、賢者たちは話を進める。もっとも、この中に元も含めれば王族の人間が四人居るのだが。
「勝手に話を進めないでもらえるかな。賢者たちよ」
「…待たせてる分際でよう言うわ。国もまともに抑えられん駄王が」
「よさぬか闇の。して、八王が全員そろっているということはそれなりの要件なんでしょうな、グローリア王」
突然開かれたドアから八人の王が入ってくる。もっとも、ジハール国の王は代理だが。
「まあ、話す手間が省けたのだからよいではないかグローリア卿」
「…まあいい。数日前に何人かの上級魔道士を偵察にパルス王国の跡地に向かわせた。噂通り、人が集まっているという報告だ」
「それで、賢者を送るのか? ならばいつものように妾一人で十分じゃろ」
「そうかもしれんが、報告では武装した魔動人形を多数目撃したとう報告も受けていてな。確かに殲滅なら貴様に任せるのが一番いいが、今回は思考を変えようと思ってな」
王の言葉に、四賢者の視線が集まる。
「我々としては、賢者の弟子の成長を見たい。なので、今回はお前たちの弟子に依頼を頼もうと思ってな。内容はパルス国跡地の魔動人形の殲滅だ」
「断ったらどうする? 悪いが、妾は貴様らを信用してなどおらん。貴様らが妾を信用していないようにな。…何か裏があるんじゃないのか?」
「これ闇の、そうかみつくな」
「自分の弟子に自信がないなら断ればいい。別に無理にとは言わない。どうする?」
グローリア王の挑発に場の空気が張り詰めた。
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