第一章『史上最強の四賢者』

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「駄王のくせによく言うわ。妾は全て知っているのだぞ。貴様ら八王がぐるだってこともな! 貴様が偉そう―!」 「その依頼。闇の賢者の弟子はお引き受けします。…グローリア王」 「シグ!」  シグはわざとアルエの前に立ち、グローリア王と向かい合う。 「勝手は許さんぞ! 何かあったら」 「アルエ、僕は国を捨てたんだ。言い訳をするつもりはないよ」 「ぐ…しかしだな」 「他の賢者はどうする?」 「ミーの弟子はすごいってのを見せてやりますよ」 「我も問題はない」 「ほほほ、この子らが出たいと言うならばかまいませんぞ」 「決まりだな。では、仕事は明日の正午にお願いしよう。明日の朝、パルス国の近くに陣を張っておく」  そう言い残し、八人の王は部屋を出て行った。 「シグ、勝手に引き受けおって!」 「お叱りは後で受けます。シャドー、門(ゲート)開いて」 「おいこら話を―!」  アルエの影から現れた絶対種『影を歩く者(シャドー・ウォーカー)』によって、アルエとシグの姿は消えてしまう。 「あれがシグ・グローリアか。初めて見たが、確かにそれなりの実力はありそうだな」 「ふん、ミーの弟子の方がすごいんだ。なあコア?」 「うち、もう帰っていいですか」  蒼の賢者の側にいた少女はとても不機嫌そうな顔だ。まあ、蒼の賢者の下心が丸見えなのだが。 「ほほほ、わしも二年ぶりに見たが、体だけでなく精神面も成長しとるようようじゃの」 「…シグ」 「校長、明日は本気だしていいんでしょ?」 「これゼロ。こういう場では賢者じゃ」 「ふ、みんな相変わらずか。行くぞコウヤ」 「はい、師匠(せんせい)」 「わしらも行くとするかの」  その日は解散したが、全員の賢者が思っていること、それは自分の弟子が一番優れているということ。口には出さないが、それが賢者の自信と言うものだ。
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