【初陣】

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「…行くよフェイ、幾重技法(デュアルスキル)…竜の猛火(ドラゴンブレス)、地獄の門番が放つ炎(デーモンズ・ヘルファイア)…神竜の獄炎(ゴットブレス)」 「はあ、面倒。…大気の精よ。我が呼び声に応えて陣を築け。そして逃げ場なき強襲を…『限り無き魔法(エンドレス・マジック)』」 「超高等技法(マギスキル)。『百の破槍(ハンレット・グングニル)』」  フィールは竜のはく炎と自分の炎合わせて強大な業火を生み。コアは大気中に無数の魔法陣を描いてそこから多種多様の魔法を放ち。シグは大気中に放出した魔力を具現化させて槍を出す。それらはゼロとコウヤの頭上を越えてその先に居る人形達をなぎ払う。 「ほほほ、みなすごいのう。しかし蒼の、何も使わず陣を築くお主の弟子、何者じゃ?」 「すごいでしょミーの弟子。あの子、人間と魔族のハーフなんだよ。それにとっても可愛いし」 「じじい。あのガキがなんで妾の吸収装備を使えるのか後で説明してもらおうか?」 「闇の、そなたの弟子だってあの年で超高等技法を扱っているではないか。それと、我の弟子が前に居るのに魔法を使うとは、どういう教育をしているのだ?」  だがそんな賢者たちをよそに、なおも人形達はあふれ出す。 「しかしですね~。あれだけの人形がどこにあったんでしょう?」 「まあおそらくは地下などに隠してあったのだろう。国を守るために用意していたが、結局使わずに終わったと言うところだろう」 「ほほほ、まあ先のことは誰にも見えんさ」 「それにしたって数が多すぎじゃ、もう二百体は壊したじゃろ」  そのとき、シグが離れた賢者の方を見る。他の賢者には見えないだろうが、万里の魔眼を持つシグと、魔族の肉体を持つアルエには魔法を使わずとも肉眼で互いの顔を見ることができる。 「どうしたんじゃ闇の。笑ったりして」 「いや、なんでもないぞ」  だが、シグはアルエの微笑みを見て他の四人を残して少し距離を置く。 「彼、何をするつもり?」 「…シグ?」  広い荒野で、シグは深呼吸をして精神を落ち着かせた。
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