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今年の夏のように、暑い日だったことを覚えてる。
妹の事を思い出すと、この言葉と笑い顔、そしてヒグラシの鳴き声を思い出す。
あの日まで毎日会っていたはずなのに、思い出すのは決まってこの情景だ。
そしてふと思う。妹は、最後まで私のことを誇りに思っていたのだろうかと。
葬式が終わり、遺品整理をしていた時、妹の日記を見つけた。
入院してから、妹が毎日書いていたものだ。
妹がどんな事を思っていたか気になり、読んでみる事にした。
日記にかかれていた事は、全て私の事だった。
持っていった本について、交した感想について。
私が話した学校の話。友達の話。ドラマの話。
日が過ぎるごとに、見ている方が苦しくなるほど体調が悪くなっていたのに、恨み言、愚痴がいっさい書かれていなかった。
私が見舞いに行かなくなってから、日記の内容は私への手紙になっていた。
いずれ、私が読むとわかっているような書き方だった。
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