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時刻は昼。
貴明はもちろん、可憐も学校を休んだ。
「なあ」
「なによ」
貴明は床に正座している。可憐は机にむかって座り、勉強している。
「彼氏とかいんの?」
可憐の手が止まった。
「どっちでもいいでしょ。そんなこと」
貴明は別の質問をする。
「家族っていつ頃帰ってくんの?」
「昼」
「じゃあそろそろじゃん」
二人が話していると、下から音が聞こえた(可憐の部屋は二階にある)。
誰かが帰ってきたようだ。階段を上がってくる音が聞こえ、その後可憐の部屋のドアが開いた。
「ただいま~カレ~ン」
可憐より背が高く、髪はやはり美しく金色に輝いている。
目が合った。
「おかえり、シャルお姉ちゃん」
シャルお姉ちゃんと呼ばれた彼女は、可憐と、可憐の姿をした貴明を交互に見る。
「カレンが二人いる……」
しかし驚いた様子はない。彼女も魔法使いなのだろう。
「俺は可憐じゃなくて貴明です」
どこからともなく腹を殴られた。可憐の風の魔法である。
「呼び捨てにしていいとは言ってない」
「殴るこたぁねえだろ」
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