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四月も終わりが近づいてきた頃。
「ゴールデンウィークまでには絶対、彼女に告白するぞ!そしてゴールデンウィークで――」
彼の名前は真田貴明(さなだたかあき)、十五歳の高校一年生。
貴明がいう彼女とは、違う高校に通っている金髪美少女のこと。登校の時、よく見かけるのだ。
「タカちゃ~ん、ご飯よ~」
一階で母が呼んでいる。朝食のようだ。
「タカちゃん、ゴールデンウィーク中に行きたいとこある?」
一階に降りてきた貴明を見て、母。
「別にない」
「そう、ならお母さんが決めるわね」
「ああ」
素っ気ない返事をし、朝食である食パンを食べる。
貴明の家庭は、母子家庭というやつだ。兄弟はいない。
「高校は楽しい?」
「まあ」
「好きな子はできた?」
「べ、別にいいだろ。そんなこと」
わかりやすく動揺している貴明を見て、母は思った。
(いるのね。良かった)
「あ、やべ、もうこんな時間だ!母さん、いってきます」
パンをくわえて、貴明は家を出る。
「気を付けるのよ~」
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