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いつもの登校風景。住宅が並んでいる。
「彼女、もう行ったかな」
先ほど言った「もうこんな時間」というのは、別に遅刻がどうのなどのことではない。
金髪美少女に会うには、八時に家を出なければならない。というのも、金髪美少女は貴明の家から十分ぐらい進んだ所で見かけるのだ。つまり、八時十分ぐらいに現れる。
家を出発してから五分が経ち、ここは大通り。
貴明は信号待ちをしていた。
「ん?」
貴明が待っている信号は当然、赤。
赤なのだが、その道路を老人が歩いていた。
プーッと、クラクションがなる。
「マジかよ――」
貴明は鞄を放り投げ、車に引かれそうになっている老人を助けに向かった。
ドォーンと、車は貴明に衝突した。老人は無事だった。
貴明の意識が遠退いていく。
(ああ、俺、死ぬ、のかな。告白、して……ないのに――)
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