~第一章~

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「これは『ドリリン』といって、薬指にはめて願いをいうと、その願いが叶うというものだ」 この老人は、詐欺にでもあったのだろうか?それともこの老人が詐欺師なのだろうか? 「まあよい、助けてくれた礼にこれをやろう」 老人は銀色の『ドリリン』と呼ばれた指輪を四つ、貴明に渡した。 「よいか、薬指にはめて願いをいうのじゃぞ」 老人はそれだけ言って、去っていった。 「こんなん高校に持っていったら規則違反じゃないか」 少しずれた考えかたをする。 「ホントに願い、叶うのかな」 貴明は一つのドリリンを薬指にはめ、歩き出した。 「もし願いが叶うなら――」 大通りを越え、角を曲がる。 「キャ!」 角から走ってきた美少女と衝突した。 (こ、これは運命か) それは可憐だった。やはり大通りの騒ぎが気になり、戻ってきたのだ。 「す、すいません」 彼女は貴明が来たほうに走ろうとした。 「あの」 貴明は勇気を出し、彼女に告白することを決めた。まだ名前は知らない。 「はい?」 「俺、君になりたい」 言ったあとに、しまったと思った。なりたいじゃない。欲しいんだ。 「は?」 彼女は変な顔をしたが、その瞬間――願いを叶える指輪『ドリリン』が二人を光で包んだ。
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