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彼女の家。
一軒家だった。家族は出かけていていないらしい。
貴明は彼女の部屋に連れていかれた。
「私は可憐(かれん)。あなたは?」
可憐はベッドに腰かけている。
「俺は貴明(たかあき)。してもいい?」
貴明は絨毯(じゅうたん)の上で正座をしている。
「するって何を?まあいいわ。まず元の姿に戻ってくれない?」
「え?ああ」
貴明は可憐のことは好きだったが、彼女自身になることは望んでいない。
薬指にドリリンをはめる。
「元の姿に戻ってくれ」
しかし何も起こらなかった。
「あれ?」
指輪から返事が返ってきた。
「効力は一ヶ月です。それまでは何をしても戻りません」
貴明はドリリンを外し、よく見る。スピーカーらしいものはついていない。
「まあいいわ。何で私の姿になりたかったの?」
「いや、ホントはなりたかったんじゃなくて、俺のものにしたかったんだ」
可憐は顔を赤くした。
貴明はあっさり、別の言い方で「好き」といえたことに驚いた。
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