忘れていた事

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忘れていた事

翌日、またも何事もなく。 その晩、また女将は華に客を取った。   更に翌日。 四人目の客は滅多刺しにされ。 以前、頭が浮いていた川を赤く染めていた。   その事を知り、老いた旦那は大事な事を忘れていた事に気が付いた。   華を買った客は死んだり行方不明になったりすると言う噂。   厳密に言えば、華を買った客は数日の内に─。 老いた旦那はゾッとした。 自分はまだ無事だ。 自分があの廓に行き、翌日に自慢話しをした相手。 旧友が華を買いに行った。 彼はどうしているだろう? 使いを走らせると。 その晩から帰って来ていないと言う。   死ぬか、行方不明か──。   その噂に老いた旦那は酷く怯えたが、ある事に気付いた。 玉李家が絡んでいるのでは? それなら、先に充分に圧力をかけて置けば大丈夫だろう。 そう思い、老いた旦那は安心した。
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