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庸元
「面白い事になっているな」
くくくっ。と、旦那様は笑った。
やはりこの方の仕業なのか?
そう思った。
「なぁ、庸元。この俺が死ぬと思うか?」
ニヤリと旦那様が笑い。
庸元は戸惑った。
今の発言。
此処、数日の殺しは旦那様は無関係なのだろうか?
噂は全て本当で、華は呪われているのか。
悩みに悩んで、廓に行く度に自分を見るある者の目付きを思い出した。
ゾッとするような冷たい刺す様な視線を。
ふと、誰かの視線を感じ。
見やると玉李の正妻が静かに佇んでいた。
此処から遠く離れた廊下にいると言うのに普段の大人しい容貌からは想像出来ないような目付きで。
だが、直ぐに正妻はしとやかに歩いて行き。
見えなくなると、旦那様はこう言った。
「俺は静かなしとやかな女がいいんだ」
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