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華
自分と寝た男は全て不幸になる。
だが、玉李の旦那だけは死なない。
喜ばしい事だった。
もうそろそろ、玉李の旦那の話を受けてもいいかと華は思っていた。
だが、話を受けて。
玉李の旦那が死んだらどうしよう。
その不安が顔に表れたのか。
「ねぇ。お姐様。お姐様は愁菊が守って差し上げるわ。だから、何も心配しないで」
そう言って、たった一人。
いつも傍にいてくれる愁菊が華の頭を抱く。
二人は孤独だった。
そして、華は愁菊が来る前はもっと酷い扱いをされていた。
まだ客も取れない年齢の華はお姐様方に勝てるものは何もなく。
女将の仕打ちにも黙って耐えるしか無かった。
数年前、それはまだ若過ぎる座敷上がりだったが、元々器量良しだった華は皆を見返すように様々な技を身に付けた。
ある時は廓で客を取らずに怪しげな場所に足を運ぶ。
そうして、華は乗し上がって行った。
だが、そんな華をよく思う者は殆どいなかった。
女将は喜んだが女達はいつも華を嫌煙していた。
そんな頃だった。
蓮華の簪をくれた優しい客が現われたのは。
その客は抱きもせず、話だけを聞いてくれた。
しかし、暫くするとぱったりと郭に来なくなり。
再び会う事はなくなった。そして、蓮華の簪は華の宝になった。
ある約束を残して。
そんな折、愁菊が廓に売られて来た。
華が袖にしても愁菊は華を見掛ける度に華にまとわり付き。
華が蓮華が好きだと言うと、愁菊はびしょ濡れになりながらも蓮華の花を集めて来ては華が笑ってくれるようにと嬉しそうに笑い。
何時しか、二人は姉妹のようになっていた。
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