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真実
暫くは流石に華を買いに来る者はいなかった。
今までは噂話程度に死んでいた華の客が連続で死んだのだ。
そして、行方不明になっていた三人目の客は今は使われていない民家から離れる様に有ったあばら屋で発見された。
柱に逆さまに立ったまま縄でキツク縛られていた。
何日もそうされていたのだろう。
糞尿にまみれた死体の悪臭に近くを通りかかった者が発見したのだった。
そして、更にその者が恐ろしく思ったのが。
両の目の有る筈だった顔の一部は暗く落ち窪み。
かつてはそこに当たり前のようにはまっていたで有ろう眼球が床に落ちたまま此方を見つめていた。
暫く、華を買う者はいなかったが玉李の旦那だけは諦めなかった。
今日も庸元が廓に使いに行かされる。
そして、突き刺さる視線を浴びながら使いを済ませた。
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