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翌日、玉李の旦那が華を身受けに来た。
何も聞かされていなかった、愁菊はビックリして泣きながら華の元へ駆け寄った。
「お姐様。どうして行ってしまうの?私を一人にするの?」
華は何時もと同じく紅をさして。何時もと違い、悲しげな顔を見せた。
「愁菊。……さようなら。もう、終りよ」
何故?
その言葉が愁菊の中で渦巻いた。
私はお姐様の為にずっと……。
愁菊は涙も出なかった。
ただ、何も考えられなくなっていた。
お姐様の好きな蓮華の花。
咲かせて見せようか。
散蓮華。
正式な身受けの前日。
華は久し振りに外に出る事を許された。
愁菊は何処へ行くのかと後を付けた。
暗い人気のない場所へ入って行く。
一時、角を曲がった所で華の姿が消え。
見失いかけ。
慌てて、追いかけると抱き合う男女がいた。
男の顔は見えなかったが女が誰か愁菊には一目で分かった。
女は蓮華の簪をしていた。
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