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趣味の悪い派手な装飾が艶やか過ぎた色彩達が相殺し合い。
普通に生活していれば一生見る事はないで有ろう、一見しただけでは用途不明の怪しげな雰囲気を放つ遊具が其処かしこに設置されているその舘では、女達が忙しく行き交う。
新しい旦那に気に入られる為。
厚い化粧に赤い唇。
吐き気がしそうな、めまいを覚える香を焚いて、めかし込む。
そんな中、そそくさと用意を終えた女達は彼女を見て囁く。
あの女は呪われていると。
彼女と言えば、目を伏せて。
しとやかに紅をさす。
その様子を見ていた、女達が散って行くのに。
何事かと華は顔を上げた。
「華。あんたを水あげしたいと玉李の旦那が言って来てる。この話し、進めていいね?」
女将は有無を言わさずに華を睨み付けるように言い放つと忌々しい物を見るようにして、それだけ言うと用は済んだと去って行く。
女達は噂する。
玉李の旦那?
あの旦那はウチの廓には来た事が無いじゃないか。
なんで、あの旦那が?
口々に囁き合う女達を後目に彼女はスッと、蓮華の飾りが施されている簪を刺し。
立ち上がった。
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