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女達が言うように玉李の旦那は此処へは来た事がない。
何処かの旦那が連れ出してくれる時以外は外出を許されていない華には当然玉李などと言う旦那に覚えはない。
ただ、噂ではよく耳にした事が有る。
玉李と言う名の付く金持ちの旦那。
成り上がりで有名になった玉李家は今の旦那が養子として、玉李家に迎えられ。
養父母が早くに亡くなった為、かつては養子だった今の旦那が玉李家を継いでから悪い噂は流れてはいるが。
廓の女達にはとても嬉しい噂だった。
何と、第6夫人となる者を家柄に関係なく探し。
更には廓にまで目を付けて探していると言う噂が立っていたからだ。
噂だとしても、正かと女達は毎日忙しく他の旦那方の相手もそこそこに忙しく自分を飾り付けては玉李の旦那がいつ来るのかと甘い夢を見ていた。
なのに玉李は彼女に目を付けた。
人種の違う華は浮いていた。
そこに更に呪われていると看板が付いていた。
華を買うと、買った者は数日以内に行方不明、怪死、自殺と不幸になる出来事が続いたからだ。
それでも華を買いに来る者がいるのは華の枕技と器量の良さの成せる技だろう。
愁菊はそれが気に入らなかった。
その上、華が水あげ。
もう華に会えなくなってしまう。
この廓に来て以来、妹のように優しくしてくれる華に愁菊は憧れ。
慕っていた。
なのに水あげなんて…。
その夜。
愁菊は一人泣き、華は一人物憂いに夜の空を見上げた。
華のこの水あげ話を喜んでいたのは厄介払い出来ると思っていた女将だけだった。
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