一人目

2/2
前へ
/25ページ
次へ
玉李の旦那と華の枕話の翌日、1日目に華を買った旦那はかなり酔っていた。 気分は天にも昇りそうだった。 流石、敷居の高い高級廓は一味も二味も違う物だ。 色んな道具に美味い酒。 そして、極上の女。   玉李にやるのは勿体無い程の。 自分も厳しい正妻さえ居なければ、夫人とはいかなくとも妾として囲ったろうに。 口惜しい……。 そう思いながらも旦那はニヤけた。 華は玉李の話を断ったのだ。 と、言う事は次の水あげ話が出るまで華はあの廓にいる。 華との睦事を思い出し。 明日も行こうと思い顔がニヤけていたのだ。   だから──。   後ろにいる人の気配など、気付きもしなかった。 ぷつり。と、何かが首に刺さった。 「……痛ッ」 少し遅れて、小さく悲鳴をあげ旦那は振り返り。 恐ろしい物を見た。   闇夜に月の光を浴び、光る鉈。   悲鳴は闇夜に消えた。  翌日、その旦那は頭を二つに割られ。 ザクロのような旦那が発見された。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加