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二人目
廓は凄い騒ぎだった。
玉李の旦那の使いとして。
庸元は廓を訪ねた。
どういう事かと、旦那様に聞くように言われていた。
正直、昨日死んだ旦那を殺したのは旦那様じゃないかと思っていた庸元は話もそこそこにして、屋敷へ帰り。
巧く話して、旦那様を落ち着かせた。
廓の方と言えば、庸元が来た事に女将は焦ったがアッサリと帰って行く使いの者に胸を撫で下ろした。
そして、女将は自分の廓に更にケチが付いた事に苛つきを隠せなかった。
だからと言って、華を乱暴に扱えば玉李の旦那から何をされるか分からない。
だから、女将は華の櫛にそっと針を仕込んだ。
しかし、おっちょこちょいでドジな愁菊が華の櫛を折ってしまい。
女将は唇を噛み締めた。
苛立つ気持ちも後押ししての事か、一人目を取って、大丈夫だったんだ。
女将はそう鷹を括ると、物珍しさに新しく来た新規の旦那を今度は華の客として付けた。
二人目は隠居をしていた老人だったが、金に困ってはいない。
玉李が水あげしないのなら、自分が。
そう思いながら、廓から屋敷へと暗い道を歩く。
ふと、不安に駆られて後ろを振り返る。
柳が揺れているだけで人影はない。
それでも、老いた旦那は用心深く屋敷へと帰って行った。
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