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「新入生の皆さん」
体育館のステージに立つ生徒会長さんが、わたし達に呼び掛ける。
「高校ご入学おめでとうございます」
その挨拶で、新入生歓迎会が始まった。
そういえば先週も、同じこの場所で同じような台詞を聞いたな、なんて思い出す。
あの時は入学式で、話していたのは校長先生だった。
真新しい制服に身を包んだわたし達は、緊張した面持ちで椅子に座り、静かに話を聞いていた。
あれから1週間の後、同じように集められた新1年生は、先週よりもずっと寛いだ顔をして、思い思いに列を崩して座り込んでいる。一体どれくらいが真面目に生徒会長さんの話を聞いているのやら。
そんなことを考えていたら、目の前にあった栗色の頭が振り返った。
クラスメイトの茉莉花ちゃんだ。
内緒話をするように口許に手を添えるので、少し顔を寄せると、甘い香水が微かに香る。
「ひなちゃん。会長、ちょっとカッコ良くない?」
茉莉花ちゃんは楽しそうにそう囁いた。
「そ、そう、かな?」
そんなとこまで見てなかったよ……眼鏡だなあとは思ったけど。
生徒会長さんの顔を改めてよく見ようと首を伸ばしかけると、後ろから声がした。
「茉莉花はまた、そんなことばっかり言って。ひなたちゃん、相手にしなくていいからね」
振り向くと、同じくクラスメイトの友希ちゃんが、呆れたような目で茉莉花ちゃんを見ている。
「友希、冷たぁい。いいじゃん、イケメンであるに越したことないんだから」
茉莉花ちゃんが口を尖らせて見せる。
それを見て、わたしは小さく笑った。
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