第1章 星の王子様

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     茉莉花ちゃんは、高校に入って一番最初にできた友達だ。  中学時代の親しい友達が別の高校へ行ってしまったため、わたしは心細い思いで入学式の朝を迎えた。  初対面の人に話し掛けたりできる程の積極性は持ち合わせていないし、ましてや、いきなり仲良くなれるような人懐こい性格でもない。  ……どうしよう、友達できなかったら。  そんな悩みは杞憂だった。  入学式の後、出席番号順で1つ前の席に座った茉莉花ちゃんが話し掛けてくれたのだ。  その笑顔を見て、ものすごくほっとしたのを覚えている。  茉莉花ちゃんは、見た目も性格も明るくて華やかで、話していてとても楽しかった。  わたしはいっぺんで茉莉花ちゃんが大好きになった。  友希ちゃんは、茉莉花ちゃんの中学校からの友達で、わたしともすぐに友達になってくれた。  性格は冷静沈着。外見はこざっぱりとして、外国の少年のようなベリーショートがよく似合う。  茉莉花ちゃんとはいろんな意味で対照的で、2人はいいコンビだと見ていて思う。  一度そう言ったら、腐れ縁なのよ、と困ったように笑っていた。  壇上では、生徒会長さんの挨拶と生徒会についての説明が済み、いよいよ部活紹介が始まろうとしていた。  新1年生にとって、どの部活に入るかは、これからの高校生活を左右する重大な選択である――帰宅部希望者を除いて。  先程まで散漫となっていた生徒達の意識も集中し始め、体育館の中が急にざわつき出す。
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