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川島孝則は憲法の講義を受けていた。
孝則は埼玉の大学の法学部の一年生である。
教授がホワイトボードに書いた文字をルーズリーフに写しながら講義が終わらないかとテーブルに置いていた腕時計をチラチラとのぞいた。
講義が終わるとすぐさま教科書を鞄にしまい足早に講義室をでてキャンパス内の図書館に向かった。
図書館の二階の円卓のテーブルに鞄を置き世界史、宗教、民族戦争の本を探しては読み、拷問や大量虐殺のページがあると杭入るように見た。
孝則はなぜ人が人を殺すのか?
なぜ人は残酷非道になれるのか?
そしてなぜ自分が『残酷な死』にひかれるのか?
不思議だった。
大学に進学してまもなく人の死への関心は膨れあがっていった。
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