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「ムリムリムリ……俺こういうのムリ………」
しかし何を言っても男は少しずつ落ちてくる。
もう腰まで見えていた。
友喜は少しでも離れようと壁際によるが、もともと狭い部屋だ。
あまり意味はない。
滴り落ちる血と少しずつ落ちてくる男を交互に見ていることしかできない。
仕方なく独学のお経もどきを唱え、消えろ消えろと念じる。
しかし、意味はなかった。
友喜には、わかっていたことだ。
「やっぱり。俺には荷が重すぎる…。怨霊じゃねぇかよ。おまえ、どっか行けって!」
相手のが強い。
ちゃんとした修業をしていない友喜には限界がある。
膝まで見えていた男がズルッと滑るように天井から落ちた。
ぼと
受け身も取らず、物が落ちるように男は着地する。
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