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落ちた男はゆっくりと顔を上げる。
「ないないない……」
後ずさろうにも、友喜の後ろはすでに壁だった。
男は不気味な笑みを浮かべる。
腕の力だけで、ずりずりと友喜ににじり寄る。
その時
ガチャ
突然、ドアが開いた。
そして校長が入って来る。
「大変お待たせしました」
校長は丁寧ににこやかに言って後ろ手でドアを閉める。
友喜は、校長に注目してしまって男の怨霊から目を離していた。
そして、視線を戻した時には、もう男の姿は消えていた。
「あ……れ?」
「どうかしましたか?」
「なんでもない」
はぁ、と友喜はため息をついた。
なんにしても、助かった。
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