110人が本棚に入れています
本棚に追加
《前橋、伊勢崎両藩軍の後退を確認。代わって沼田藩軍が押し出てきました》
耳に押し当てた無線機から入ってくる情報をもとに、鳳の脳内でパラリと音を立てて地図が開かれる。
《後続第一隊、第二隊とも敵妨害部隊を撃破。損害0。第三隊と合流に成功、現在第一隊が中倉隊を近距離支援、第二第三隊が遠距離支援中です》
さらにその地図上に敵味方を表す駒が置かれ、それが目まぐるしい速度で動いていく。時系列の整理と自軍と敵軍の距離確認も忘れない。その中で自分の予測との齟齬があれば見直し、誤差修正が可能かどうか計算する。
《また、MLRSが地点Fに到達。攻撃用意完了しました》
「目標は?」
《沼田藩左翼です》
そこまで聞いたところで、鳳の計算は終了した。
結果は、自軍の勝利にゆるぎなし。
「よし、予定通り事を進めてくれ」
《了解!》
威勢の良い返事と共に通信が切れる。鳳も満足げに頷くと無線機を戻し、簡易テントから外に出た。
折しも、天空から飛来した鉄の暴風に敵の一部が飲み込まれるところだった。
最初のコメントを投稿しよう!