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屋上は好きだ。なんとかと煙は高いところが好きってヤツだろうか?
柵から少しだけ身を乗り出して、茜色の景色を見ていた。
「何やってんのだよ」
「別に」
背後からの問い掛けに適当な答えを返す。
「身投げとかやめろよなー」
「それもいーかもね。ヒモ無しバンジー?」
「ばぁか。お前そんな度胸ねぇくせに」
「はは、よくわかってんじゃん」
私は背を向けたまま笑ってみせた。彼も近づいてはこない。
「まぁ、泣き止んだら降りてこいよ」
そんなこと言うものだから驚いて振り向いたが、もう彼はいなかった。
ちぇっ、ばれてたのか、とちょっと恥ずかしくなって、涙をぐしぐし乱暴に拭った。
泣いてなんかいない。真っ赤な空が目にしみただけだ。そう笑い飛ばしてやろうと思って、錆びたドアへと走りだした。
真っ赤な空は、染める。
二人も何もかも。
おしまい
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