青い空、散る雪

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 今年の卒業式はなんて寒いんだ。  雪が舞ってるじゃないか。    厚い雲のその向こう。  青空があるはずなのに、  すごく、遠い。    まるで、あの人のように、  すごく、遠い。   「言わないのかよ」  卒業証書が入った筒で頭をぽんぽん叩かれて振り返る。 「言わないよ。なんでこの良き日に、自分から傷つかなきゃいけないんだ」 「後悔してもしらんぞ」 「言わない後悔より、言った後悔の方がでかいんだよ。俺の場合は」 「ふうん?」   「青空には、手を伸ばしたって届かないんだよ」    余計な涙なんかいらない。    だから、雪と共に散ってくれ。    俺の淡い恋心     終
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