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古泉、か‥‥。 「なあ長門」 こちらを見ないで当の本人は壁をプニプニつついたりして遊んでいた。遊んでいるように見えた、が正しいのかもしれんが。ともかく、耳は耳でちゃんと働いているだろう。遠慮なく話すことにした。 「今回、ハルヒの力を使ったのが他の奴なら、どうやってハルヒと同じ力を得たんだ? なんで俺たちSOS団をここに残したと思う?」 無言か、と思いきや長門はちゃんと返事はしてくれた。 「涼宮ハルヒの自律進化の可能性を握る、情報を生み出す力は現在全宇宙の中で1つしかない。その保有者が涼宮ハルヒだった」 だった、ね。 「誰かが奪ったってことか」 爪先で壁をなぞる。水面をなぞるかのようになめらかに動くその白い指は、肯定と捉えても良さそうだ。 「何故私達が此処にいるのか」 長門はそう区切り、 「不明」 とだけ言った。 「その犯人が意図的に残した可能性は?」 これの返事はサイレント。だが勘でわかる。きっと犯人にも想定外だったんじゃなかろうか。 どういう筋道でハルヒの力を奪取したかは不明だが、おそらくハルヒから力をとったのは連続的な閉鎖空間が起こる前だ。その前はハルヒが能力で噂をあれやこれやの人々にバラまいたから、その間だろう。そして手に入れるや否や長門に口止めするよう、願望を実現する能力を行使した‥‥。 ‥‥疑問点残りまくりだ。しかし今はこれだけのことしか分からない。少なくとも俺の頭じゃな。
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