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「貴方の家に訪れる前に、真っ先に涼宮さん宅へ向かいましたが、明かりは皆無でした。僕はてっきり涼宮さんが起こしたものばかりだと信じきっていたので疑問にも思いませんでしたが‥‥‥そうですね、長門さんの話が本当ならば涼宮さんが此処にいるかどうかまでは分かりかねます。能力を持たない彼女は普通の女子高生ですからね。本当の世界に取り残された可能性は低くありません」
俺も普通の男子生徒なんだがな。
「ですが、この学校には確かな第二の閉鎖空間があります。閉鎖空間を引き起こした者から招待を受けた者が入れる、いわゆる私的領域です。真犯人は間違いなくここにいるでしょう。僕たちが学校の中側にいないということは、パーティーの招待状を送っていないということですから、僕たちの存在は彼もしくは彼女にとってはイレギュラーそのもの‥‥‥」
手の平を壁に当て、表面を震わせる。
「‥‥‥入れます。皆さん、手を繋いでください」
閉鎖空間にダイレクトにくぐったことがあるのは俺と古泉しかいない。覚悟を決めて俺が古泉の差し伸べられた手を握ろうとした時、ひじの部分に小さな力が加わった。掴んでいるのは朝比奈さんかと思ったが、意外にもそれは長門だった。青白い光に照らされた長門がもう片方の手に持つものを俺に差し伸べる。
「これは‥‥‥?」
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