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「今夜は十五夜です。この屋敷だと良く見えますから是非見てみては?」
「ああ…そういえば、そういう時期頃でしたね」
「今夜は晴れそうだし、きっと綺麗でしょうね」
明正の隣に座っている老婆、節乃<セツノ>がうふふと笑う。
「……そうえば……」
と、薬売りは何か思い出したかのように呟くと、老夫婦は何かと尋ねた。
「いえ、ちょっとばかし、風の噂で小耳にしたのですが…この屋敷に住まう姫は、とても美しい女性と聞いたのですが……」
「……ああ、神楽かい」
「ほう…神楽姫と…」
「はい。神楽は私たちの娘でごさいます」
「彼女に会うのは……」
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