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「次に二人目の男が持って来たのは、金色に輝く、それはそれは見事な壺でした。あれほど光神しい壺は始めてでしたよ。
三人目の男は、この国にはお目にかかれない、色とりどりの貝殻の首飾りや髪飾りを……。
四人目の男は龍の瞳に似た、水晶を差し出して来ましてな。
そして最後の男は、何と家の財産を殆ど使って金の枝に宝玉の付いたそれはそれは……見る者を圧倒するほど、素晴らしい品でした」
「……結局、彼女は誰を選んだのですか?」
すると、さっきまでの楽しそうな表情は何処へ行ったのか、明正は項垂れるようにして頭を垂らした。
「結局…姫の答えは全ていいえじゃった……」
誰かに対して興味を示さないのが悲しかったのだろう。明正は少しばかりため息をついた。
「それは…彼らが気の毒に……」
ぽつりと、独り言のように呟くと、明正に聞こえたのか、彼もまたうんうんと頷いた。
「神楽もそろそろいい年頃なのにのぅ……」
「……ま、何がともあれお話しを聞かせて有難うございます」
「いえいえ。私達もこうして誰かと話しをするのは随分久しぶりの事でしたから楽しかったですよ」
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