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そう彼は、このご飯に毒が盛られているのを見抜いたのだ。
それを伝えれば女はすっかり怯えだしてしまった。
しかし、いくら毒を持った事がバレたとしても、明らかに怯えようが尋常ではない。
「お許しください…お許しください…お許しください…」
女のこの台詞は誰に対しての謝罪か…。
「一体…何に怯えているんだ…?」
「………………………」
先程の穏やかな口調と違って、鋭くなる言葉。
「知っている事なら…是非、お聞かせ願いたく候」
チリィン……
いつの間に手にしたのか、薬売りは獅子頭が付いた退魔の剣を構えだした。
剣を構えた瞬間、獅子の頭に着いている青い紐で付けられた鈴が部屋中に響き渡った。
女はそれを、ただ唖然として目を丸くさせるだけであった。
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