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ここは北海道のある街。季節は冬。道路には一面に広がる氷。
そんな中、春夏秋用の普通の靴で登校しようとしている一人の男がいた。
その男の名は白家 滑利之助(しらけ すべりのすけ)。その名の通り、友人との会話ではいつもスベりっぱなし。本人は常々「人を笑わせたい」と思っているので、これは深刻な問題であった。
それはそうと、このガッチガチに凍った氷の上を、滑り止め加工も何もされていない普通の靴で歩くのはかなり無謀な事であるが、滑利之助は生まれてから17年間これを続けている。そして、転んだことは一回も無いというから驚きだ。この素晴らしいバランス感覚には誰もが脱帽する。
「ふぅ~寒いなぁ……。」
滑利之助は一度体を大きく震わせた。
ふと上を見上げると、道路沿いの家の屋根に、長いつららがあった。
滑利之助は、高校2年にもなって、未だにつららを見つけると折りたくなってしまう。
この日も当然折ろうとするが、屋根が少し高くて苦戦している。
「取れねぇな……こんにゃろ!えい!」
滑利之助は気合いを入れてジャンプした。
しかし、こんな路面では流石に上手く着地出来る訳もなく、思い切り滑って転んでしまった。
そして、運悪く後頭部を強打して死んでしまった。
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