明白な答え合わせ

4/8
前へ
/36ページ
次へ
 「何を、言ってるんだ――」  「お前に殺されるか、  私が自分で私を殺してしまうか  二つに一つなんだよ」  こんな、  ただ生きていく日々はもう飽きたよ。  なんの快楽も見出せない世界に、  どうやって居ろっていうんだ。  世界はモノクロで、空は蒼くって  月は大きい  私はあそこには行けない。なら  確かに私は月が好きで、  空を愛している。  あの静かな瞬きを、  どうして嫌うことができるんだ。  愛さずには居られない。  だがアレは  私を受け入れることはないんだろう。  死んでも星にはなれない。  空には昇れない。  ならもうこの世界に用はない  「お前には、友達が居るか?」  「――っ」  「名前を呼び合えるような友人が、  お前に……ああ、お前は私だったな。  ふふ、じゃあ答えは決まっていたか」  メスを、メスを握った手に力を込めて  しっかりと握りこむ。  その姿は幼い私にも、  見えていたんだろう。  ビクリと強張るその表情に、  私は微かに同情しながらもそれでも  それを手放すことはない。  小さな頃、私は無邪気で  無邪気すぎた。  世界を過信しすぎていて  そして同時に絶望したはずだった。  世界の本性を、私は知っていた。  無気力で、ただあるだけで  その意味では本当に  平等でしかない世界。  手を伸ばしたって、  欲しいもんは手に入れられないんだよ。  最後にはハッピーエンドなんて、  そんなの願望でしかない。  わかるか?私、  お前には見えているんだろう。  私より、鮮明に、見えているはずだ。  短すぎる髪に、  黒いワンピースを着込んで  ノースリブから伸びる腕には、  痣が覗く。  お前は、  世界の本性を知っているはずだろう?  
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加