明白な答え合わせ

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 お前を誰が愛しているよ、  周りを見てみろ  皆がお前の動向に目を走らせて  一番近しいアイツは、  お前がナニカをする度に  ヒステリックに叫んで  お前のその白い頬に  『躾』という名の『愛情』が降る。  確信するのはまだ先か。  それでも未だ生きてきたのだから、  不思議だろう。  「友達も居ない、  兄弟ともろくにうまく話せない。  親の隣でビクついて、現実逃避に  空を見上げ続けた結果がこれだよ。  だからほら、お前が私を殺せよ。  もういいだろ。終わらせちまおうぜ。  このままずっと生きていったって  どうせろくでもないんだから」  メスを、自分の喉元に向ける。  微かに、私の手も震えている。  怖いんだろう。  本能ってやつが、邪魔をする。  「もしかしたら、  ――もう忘れてしまったけれど、  もしかしたら過去の私はまだ未来に  希望なんて持っていて、  やりたいこともあって、  好きな人もちゃんと居て、  愛なんてものが本当に存在するんだって  信じているのかもしれない。  けれどもし、そんなものが  私のあずかり知らぬところで  存在したとしてもな、  私には全く関係ない位置にあって  そしてそれらは救ってはくれない」  この混沌から  「それに私は覚えているよ。  私は――お前だった頃から死を  考えていたことを」  
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