5月5日-1

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「開園時間は?」 「10時」 「そんなに遠いのか?」 「や、あと一時間も掛からずに着くわよ。」 「早すぎやしないか」 「良いじゃない、別に」 始発の山手線は貸し切りに近かった。 目線の高さにある太陽が、ビルの隙間を避けテンポよく邪魔の無い床にレトロなフィルムの様な模様を流す。 青白く抜けた空だけが駆ける建物と対称的に、朝の色へとじわっと変わる所だ。 隣に座る文子が小突いた。 「着いたら起こして。」 雑誌を丸めポーチに差し込むと彼女は腕を組んで目を閉じた。 列車は徐々に速度を殺し、俺達は上野駅を乗り過ごす頃だった。
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