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まるで雑誌からそのまま抜け出してきたみたい。
手も足も首も全部細くて、髪もクルクルに巻いていて、オシャレな服を完璧に着こなしている。
ただそこに座っているだけなのに、まるでスポットライトでも当たっているみたいに目を引く存在。
(すごーい! すごーい! めちゃくちゃかわいい……!!)
面接の緊張も吹っ飛んじゃうぐらい興奮して見つめていたら、それに気づいたカノンがあたしのほうを見てくれた。
(こっち向いたーっ!!)
明らかにカノンと視線が合ってる。
(カノンが見てる……見てるよー!!)
面接を控えた緊張感と、憧れの人と目が合った驚きとでカチコチになってるあたしに、カノンはふんわり微笑む。
すごく優しい笑顔に、さっきまでカチカチだったあたしの体もほぐれて、自然に笑顔になってくる。
(夢みたい……カノンがあたしに笑いかけてくれるなんて……)
そのことがあまりにも嬉しくて、次々と進んでいく面接の様子なんかちっとも頭に入らない。
あたしはずーっとカノンを見つめていた。
(カノン、スタイルもいいけど姿勢もいいんだ……。それに指先まで意識が行き届いてる)
少しだけでもカノンに近づきたくて、あたしもお腹に力を入れて椅子の上で背筋を伸ばす。
揃えた両手は膝の上。足は開かないように引き締めて、爪先を揃えて横に流して──。
「では次、13番、皆本優奈さん。お願いします」
「──はい!」
さっきまでとは違って、自然と声が出る。
部屋中の視線を浴びながら立ち上がると、考える前に声が出ていた。
「あたしは──あたしは自分の笑顔で、みんなを笑顔にできるような、そんなモデルになりたいです!」
カノンに会いたいって一心でここまで来たあたしだけど、今この瞬間、心からモデルになりたいって思った。
だってたった一枚の写真で、ポスターで、カノンはいつでもあたしを励(はげ)ましてくれたから。
カノンがいなかったらオーディションを受けようなんて思わなかったし、きっと今朝だって、佐久間先輩にも話しかけられなかった。
カノンの笑顔であたしは勇気を出せたから、今度はあたしが誰かに勇気をあげたいって思ったのだ。
「なるほど。わかりました。では特技を教えてもらえますか?」
(特技……なんかあったっけ!?)
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