第4話 打ち明け話

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「そんな簡単なもの~?」 「ウチはそうだけどなー」 「そりゃ彩はかわいいから、男の子にフラれることなんてないだろうけど……」 「あるある! 超あるって! そんなモテまくってたら、今ごろかっこいい彼氏を作ってラブラブしてるし!」 「そ、そっか」 「まーね、ウチもユウに偉そうなこと言ってるけど、いざ誰かを好きになると、そう簡単に告白なんかできないよねー」 「そうだよ~」 思わず2人並んでため息なんかついちゃったりして。 でもいつまでもぐずぐず思い悩んでるあたしと違って、彩は切り換えが早い。 「だけどさ、やっぱりここぞってときは勝負しとかないとダメだよ! このまま遠くから見守ってるだけじゃ、夏休みの間に忘れられちゃうかもよ」 「それは困る! けど……」 「けど?」 「忘れられる前に、覚えててくれてるかどうか微妙……」 「…………」 本当はあたしだってわかってる。 佐久間先輩のことが好きだっていうなら、このままじゃいけないってことを。 でも一歩踏み出すには、あと少しの勇気が足りない。 (オーディションに合格すれば、少しは自分に自信がつくかもって思ったんだけどなぁ) 立ち上がって屋上のフェンスにコツンとおでこをぶつける。 グランドでは陸上部らしき人たちが、暑さに負けず練習をしているみたいだ。 でもこんなに離れていたら、佐久間先輩がどれかなんてわからない。 (運命の赤い糸が見えたらいいのに) もし赤い糸があったなら、あたしの糸が佐久間先輩につながっているかを確かめられたのに。 でもきっと、そうなってもあたしはもつれた自分の糸が、誰につながっているか確かめられないんだろう。 (結局必要なのは、あたしの勇気ってことか──)
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