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オーディションを受けたことを打ち明けてから数日。
彩は学校であたしと顔を合わせるたび、「合格した? 連絡はあった?」って聞いてくる。
あたしなんかがモデルになれるわけはないのに、彩はすっかりあたしがモデルになるって信じ込んでるみたい。
それでも夜、家でテレビを見ているときに電話が鳴ると、思わず身構えちゃうのは……あたしもちょっとだけ、期待しているからなんだろう。
だけどその夜──いつものようにバラエティ番組を見てのんきに笑っていたあたしは、そんなことなんてすっかり忘れていた。
「お母さん、電話鳴ってるよ」
「今手が離せないから、代わりに出て~!」
「もう、せっかくいいところだったのに」
ぶうぶう言いながら、テレビを見たまま受話器を取り上げた。
「はい、皆本です」
『こちら「プチメロン」編集部ですが、皆本優奈さんはいらっしゃいますでしょうか?』
「あ、はい。あたしですけど」
答えながら、あわててテレビを消した。
受かるわけない、合格なんてできっこないって思っていても、心臓がドキドキするのは止められない。
『今回のモデルオーディションにご応募いただき、ありがとうございました』
「あ、いえ……どういたしまして」
『実は今回、皆本さんがグランプリに選ばれまして』
「…………………………はい?」
言われたことの意味がわからなくて、思わず聞き返してしまう。
「グランプリって、あたしがですか!?」
『はい、皆本さんが』
「ウソ~~~!?」
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