第6話 モデルの勉強

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言いたくないのはあたしなのに、その罪悪感から逃れるみたいにそんなことを考える。 でも親友にウソをついてることに変わりはなくて、あたしは夏休み中も、なるべく彩といっしょに過ごすようにした。 隠しごとをしている後ろめたさも、ふたりで楽しくおしゃべりをしていれば少しは薄れる気がしたから。 「せっかくの夏休みなのに、宿題ばっかってどーなのー!?」 今日はあたしの家で、ふたりいっしょに夏休みの宿題をやっている。 プリント相手に悪戦苦闘していた彩が、鉛筆を投げてテーブルに突(つ)っ伏(ぷ)した。 「先生たちと違ってウチらは今、貴重な青春時代真っ盛りなのに、こんなプリントばっかやってるとかありないし!」 「ちょっと休憩にする?」 「そーしよそーしよ」 やっぱりというか案(あん)の定(じょう)というか、彩はかなり飽(あ)きっぽい。 やれば勉強だってできるけど、頭にタイマーでもついているのか、45分経つときっちり不平不満がブザーみたいに鳴り出すのだ。 お母さんが用意した冷たい飲み物をコップに注いでひと休み。 窓から空を見上げると、大きな入道雲(にゅうどうぐも)が見える。 今日も外は暑そうだなー、なんて思っていると「そういえばさ」と彩が身を乗り出した。 「オーディションの結果って、まだ出てないの?」 「え? あ……う、うん」 「マジー? 結果出るの、めっちゃ遅くない!?」 「うーん……そうだね……」 (本当は結果なんてとっくに出てるんだけど……) 口止めされている以上、打ち明けるわけにはいかなくて、困ったあたしは作り笑い。 (今はまだ言えないけど……。いつかちゃんと説明すればだいじょうぶだよね! 彩はあたしの親友なんだし) 考え込むあたしの姿をどう受け取ったのか、彩はぱっと笑顔を浮かべて話題を変えた。 「ねえユウ、土曜日の夜ってヒマ?」 「うん、ヒマだけど」 「じゃーさ、夏祭り行こうよ! ナナカとミオも誘(さそ)ってさ!」 「夏祭り! 楽しそう!!」
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