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同い年なのに牧野さんはかわいくて明るくて、クラスの中にいても目を引く。
その証拠に、さっきから男子たちが彼女のほうを見てはなにか噂し合ってるし。
(いいなぁ、あたしもあんなふうになりたい)
これで今日何度目になるかわからないため息。
「ユウ、ユウナってば。おーい!」
「は……はい!?」
「なにボーっとしてんの! もうみんな、体育館行っちゃったよ!」
「体育館? なんで?」
「入学式に決まってるじゃん。ほら、急がないと遅れて恥ずかしいよ!」
確かに、さっきまで騒がしかった教室はいつの間にかもぬけの空。
同じくガランとした廊下を、あたしは牧野さんに引っ張られながら歩く。
「もしかして牧野さん、あたしを待っててくれたの?」
「だって先生が入ってきてもずっとボンヤリしてるしさ~。放っとけないっしょ? あと、ウチのことは彩でいいよ。ウチもユウナのことユウって呼ぶから!」
「うん、ありがとう彩!」
「いえーい。友だち友だち」
彩がつないだ手をブンブンと振る。
「やったね。ウチ、ユウみたいなかわいい女の子、大好きだし! あとでケータイの番号とアドレス交換しよ」
「えっと……あたしまだ、ケータイ買ってもらってないんだよね」
「わかるわかる。ウチも親の説得、超大変だったもん」
「そっか~……」
「そうそう……ってヤバ! 早く行かなきゃホントに入学式始まっちゃうよ!」
あたしの手を引いて笑う彩の顔はヒマワリみたいで、やっぱりかわいいなってあたしは思った。
──入学式の間中、佐久間先輩がいないかなってキョロキョロしてみたけど、さすがにというかなんというか、全校生徒が集まった中から見つけ出すことはできなかった。
来たときはひとりだった校内を、帰りは彩やその友だちといっしょに歩く。
でも同小だった3人の話題にあたしはついていけなくて、ちょっと退屈になってため息をついた。
下駄箱で靴を履き替えて校門へ。
まぶしい太陽が照らすグラウンドでは、陸上部らしき人たちが練習に励(はげ)んでいる。
(あれ……?)
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