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その中のひとり。
まるで風みたいに重さを感じさせずにトラックを走る人影に、目が釘(くぎ)づけになる。
(あの人、もしかして……)
すれ違ったのはほんの一瞬。
校門へ向かうあたしの真横を走り抜けたのは、間違いなく佐久間先輩で。
そしてその一瞬が、それからのすべてを決める決定打。
桜の花咲く春4月──あたしが大人になるために必要だった恋の、それが始まりだった。
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