第1話 偶然の出会い

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その中のひとり。 まるで風みたいに重さを感じさせずにトラックを走る人影に、目が釘(くぎ)づけになる。 (あの人、もしかして……) すれ違ったのはほんの一瞬。 校門へ向かうあたしの真横を走り抜けたのは、間違いなく佐久間先輩で。 そしてその一瞬が、それからのすべてを決める決定打。 桜の花咲く春4月──あたしが大人になるために必要だった恋の、それが始まりだった。
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