第2話 運命のオーディション!?

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新しい学校、新しい校舎。 急に難しくなった勉強にもようやく慣れたのは、季節が春から夏へと変わるころだった。 あれから何回も、陸上部の練習で走る佐久間先輩の姿を見かけたけど、当然ながら進展はなし。 先輩はいつでもまっすぐ前を見つめてて、あたしなんかには気づきもしないで駆(か)け抜けていく。 でも、そんなところがクールでかっこいい! なんて思ってたりして……。 「ウチ、暑いの苦手なんだよねー」 「あたしもだよー」 屋上の日陰に座り込んで、紙パックのジュースにストローを突き刺した。 入学式以来、彩とはすっかり仲良し。もう親友って言ってもいいと思う。 お互い部活がないときは、こうして屋上でダベって帰るのが習慣になってたけど、そろそろもっと涼しい場所を探さないといけないかも。 「てゆーかさ、もうすぐ夏休みだよ。のんびりしてる場合じゃないよ」 「え? どうして?」 「だって夏休みに彼氏なしとか、さびしくない!?」 「うーん……そう……かな?」 佐久間先輩のことを思い出して、ドキンと心臓が高鳴る。 確かに佐久間先輩といっしょなら、夏休みだって冬休みだって、なんならテスト期間だってめちゃくちゃ楽しいと思うけど、そんなの全然現実感がない。 (彩はともかく、あたしなんて見るからにお子様だし……) そう思うと、こうしていちごミルクなんて飲んでること自体、子供な証拠のような気がしてきてしまう(彩が飲んでるカフェオレは、いちごミルクより大人だと思う)。 「ねーねー、ユウは好きな人とかいないの?」 「え!? んー……好きっていうか、気になる人はいる……かな」 「マジで!? 誰!? 超興味あるんだけど!!」 あたしも驚(おどろ)くぐらい、勢いよく食いついてくる彩。 (でも彩になら、教えてもいいよね) 「あのね、3年の人で……」 「先輩かぁ!」 「佐久間先輩って名前だけは知ってるの。あと、陸上部にいるみたいで」 「陸上部の佐久間先輩って……ウチのお兄ちゃんのクラスメイトだよ」 「それ、ホント!? ってかお兄ちゃんいたんだ!?」
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