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プロローグ
あたしがまだ、ランドセルを背負った小学生だったころ。
中学生たちは、あたしよりずっと大人なんだって思ってた。
何でも知ってて、すぐ泣いちゃったりしないで、難しい悩みごとだってちゃんと自分で解決できちゃう、そんな存在。
だけど──憧れの制服に袖(そで)を通し、中学生になったあたしはちっとも大人になんかなれてなかった。
世界は相変(あいか)わらずわからないことだらけで、悲しくなるとすぐ泣いちゃって、悩みごとを解決する力も備わってないのに、降りかかる問題はどんどん難しくなっちゃって。
でも──でもね。
それでもあたしにとっての中学校生活はキラキラ輝いてた。
それはきっと、あの人に出会った入学式の日からずっと。
だから心の中で繰り返す。
「センパイ、大好きです」──って。
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