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真夏の吸血鬼
「あぁ…腹減った…」
俺は暗い森を駆け回り、月の輝く夜空へ飛び立った
「くそぉ…もう三日もロクな飯を喰ってない」
俺の闇色な身体を月明かりが照らしながら
俺は住宅街の上空を飛んでいた
「それにしてもこの間の死んだ犬の血はまずかったー」
住宅街を見下ろすと一人の老人が、呑気に団扇を片手に縁側に座って居るのが見えた
(あんなの飲むくらいなら死んだ方がましってもんだ
それに比べたら老人のでも、ニンゲンノナラ ジョウトウダ)
俺は老人の背後に近づきその首筋に自身の刃を突き立てた
紅い血が喉を通して自身の空腹を満たす
(若い女の血……と想えばうまい)
その時
白く濁った煙が俺をかすめた
ほんの一瞬、意識が遠退きかけて立ち直った時には既に目前には誰かの手が俺を捕えていた
一瞬の出来事、俺の断末魔だった。
バチン!
「おじいちゃん蚊が停まってたよ♪」
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